かぐや姫

昔、竹取の翁と呼ばれるおじいさんが竹やぶで、不思議な光を放っている竹を見つけました。おじいさんがその竹を切り開くと、中から美しい小さな女の子が現れたのです。
驚いたおじいさんは、その子を家に連れて帰り、おばあさんと共に育てることにしました。

ふたりはこの子を「かぐや姫」と名づけ、まるで自分たちの娘のように可愛がり育てました。
かぐや姫は見る間に成長し、その美しさは世に知れ渡るようになります。
多くの人から結婚の申し込みが来ましたが、かぐや姫は誰の求婚にも応えず、難しいお題を出しては彼らを退けていました。

ある月夜の晩、かぐや姫はおじいさんとおばあさんに打ち明けます。

「私は月の世界の者です。まもなく私は、月へ帰らなければなりません…」

ふたりは涙を流して、かぐや姫の言葉に耳を傾けます。彼女が月に帰ることは、ふたりにとって耐えがたい悲しみでした。

やがて、満月の夜、かぐや姫を迎えに天の使いが舞い降りてきました。
彼女はおじいさんとおばあさんに別れを告げ、光の中、静かに月の国へと帰ってしまったのです。
ふたりはその後も、夜空に浮かぶ月を見上げては、かぐや姫を想い続けました。

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